『ショッピングリハビリ』で、高齢者とともに歩む。
中川逸斗
2016/03/04

ご高齢になると、当然、身体機能は低下し、日常生活に対してのモチベーションは低くなることも多分にある。 そんな中、日常生活のうちのひとつである「買い物」を通して高齢者の方々を支援している作業療法士がいる。 鳥取県にある企業である光プロジェクト株式会社 代表取締役の杉村卓哉さん(作業療法士)だ。 それは、 「高齢者の活動や日常...
ご高齢になると、当然、身体機能は低下し、日常生活に対してのモチベーションは低くなることも多分にある。

そんな中、日常生活のうちのひとつである「買い物」を通して高齢者の方々を支援している作業療法士がいる。

鳥取県にある企業である光プロジェクト株式会社 代表取締役の杉村卓哉さん(作業療法士)だ。



それは、
「高齢者の活動や日常生活を支援したい」という想いから始まった。

その想いを具現化する活動のひとつとして、杉村さんは次世代型のショッピングカートを活用したショッピングリハビリ®(買い物リハビリ)を推進されている。

ショッピングリハビリ®とは、光プロジェクトが開発した「楽々カート」を活用することで、高齢者が、楽しく、楽に、快適に買い物ができる環境を作り出しているモデルだ。
これは、特に変形性膝関節症等で足が不自由な高齢者の方々が買い物を通してリハビリ(運動)ができる環境を提供し、ひいては高齢者の方々の引きこもりも解消することができる。
「楽々カート」は、肘で身体を支える仕組みのカートであり、身体の負担を極力軽減しながらご自身の足で歩くことができる、「ショッピングカート」だ。

杉村さんは作業療法士。
作業療法士は、対象者の活動・動作・作業を分析し、それに対して適切なアプローチ(リハビリや道具の提案等)ができるプロフェッショナル。
作業療法士としての知見・経験を活かして、製品・プログラムを開発した。

光プロジェクトの製品・プログラムは、スーパーや介護施設でも取り入れられている。
スーパーが、ショッピングカートである「楽々カート」を取り入れ、高齢者の方々が利用することはもちろんのこと、デイサービス等の介護施設でも「楽々カート」を導入し、介護施設の利用者さんが施設内で訓練を行い、職員と一緒に買い物に出向くモデルでもある。


-楽々カートは見た目もスタイリッシュで、使い心地も抜群だ。-

ショッピングリハビリ®を実際に行うことにより、スーパーの館内をご自身で歩き、歩行機能や運動機能に寄与することは勿論のこと、引きこもりを予防し、献立を積極的に考えることで、認知予防にも繋げることができるのだ。

実際に、ショッピングリハビリ®のモデルを通して買い物をされた要介護の高齢者の方々が、自立しているケースも多々あるそうだ。
また、予防事業でも採用されているため、自立しても(介護認定がなくなっても)、高齢者の方々が、ショッピングリハビリ®のモデルを活用できる仕組みも整備されており、卒業後の受け皿作りもバッチリだ。

-「楽々カート」を使って大好きな買い物をする一幕-




杉村さんは元々約5年半病院で勤務されていた。
病院で勤務していたとき、とある歩行器と出会う。
パーキンソン病の方が、その歩行器を活用することにより、姿勢が整い、趣味も活発にできるようになったことを目の当たりにした。
すぐに、杉村さんは、その歩行器の開発メーカーの社長に会いにいき、国際福祉機器展での展覧、大学教授と一緒にエビデンス取得等に奔走した。
そんな折、たまたまショッピングセンターにいくと、高齢のおばあちゃんが辛そうに買い物をしている姿を見て、
「病院やデイケアでのリハビリも勿論必要だが、日常生活のうちのひとつである”買い物”を通してリハビリができるようにすると、もっと喜んでもらえるのではないか?」
と思ったのが開発のきっかけだ。

加えて、歩行器で杉村さんと一緒に買い物に行った高齢者の方が
「ここには、もう来られないかもしれないからね」
と言ってケーキをたくさん買っていた姿を見たのも、開発のひとつの決め手だった。

それから、杉村さんは作業療法士の知見を活かし、2011年9月に試作機を開発。
今では、中国・関西地方を中心に、楽々カートとショッピングリハビリを導入するスーパー・介護施設・自治体が増えている。
今後は、デイサービスだけでなく、有料老人ホームやサ高住にも取り入れていきたい方針だ。



リハビリは決して“運動すること”だけではない。
発想や工夫により、日常生活自体がリハビリになり、高齢者の方々の生きがいも支援するこができる。

日常生活支援が介護保険から徐々に切り離されていく環境の中、杉村さんのショッピングリハビリ®の活動には、今後も目が離せない。

杉村さんが高齢者の方と共に歩む道は、
モノを買うという価値だけでなく、人生の価値そのものを買うという道なのだ。

活動の概要
活動名 ショッピングリハビリ®
活動場所 鳥取県西伯郡大山町東坪505
活動を主催している団体名 光プロジェクト株式会社
URL 1 http://act.upper.jp/
URL 2


 
関連記事一覧
ベテラン保育士に聞く!!  セラピスト向け「子育てセミナー」~イライラしない向き合い方とは?~
ベテラン保育士に聞く!! セラピスト向け「子育てセミナー」~イライラしない向き合い方とは?~
リハビリに最適な「旅行のきっかけ」をつくるために…
リハビリに最適な「旅行のきっかけ」をつくるために…
第二回オヤミル新年会~ボトムアップでも世の中を変えていく!結局のところ地域って何?~
第二回オヤミル新年会~ボトムアップでも世の中を変えていく!結局のところ地域って何?~
プログラミングカフェ  おとなとこどもと『第二回オヤミル新年会プレゼン』
プログラミングカフェ  おとなとこどもと『第二回オヤミル新年会プレゼン』
互助革命~つながりが地域を救う~『第二回オヤミル新年会プレゼン』
互助革命~つながりが地域を救う~『第二回オヤミル新年会プレゼン』
地域で活躍する作業療法士が伝授する「コアリーダー実践塾」
地域で活躍する作業療法士が伝授する「コアリーダー実践塾」
台湾の理学療法士・作業療法士に日本の理学療法士が研修・臨床指導!
台湾の理学療法士・作業療法士に日本の理学療法士が研修・臨床指導!
理学療法士と企業がパワーアシストグローブの実証実験をスタート
理学療法士と企業がパワーアシストグローブの実証実験をスタート
オヤミル新年会 ~みんなで創る、新しい働き方~
オヤミル新年会 ~みんなで創る、新しい働き方~
高齢者住宅向けサービスへ!リハビリ専門職の精鋭でサービス企画!
高齢者住宅向けサービスへ!リハビリ専門職の精鋭でサービス企画!
在宅医療ではたらくということ~終末期の現場ではたらくセラピストたち~
在宅医療ではたらくということ~終末期の現場ではたらくセラピストたち~
作業療法士が高次脳機能障害家族会を支援
作業療法士が高次脳機能障害家族会を支援
療法士による映画(ショートフィルム)の技術指導が実施されました
療法士による映画(ショートフィルム)の技術指導が実施されました
車椅子ファッションとオヤミルMAPがコラボレーション
車椅子ファッションとオヤミルMAPがコラボレーション
幸手モデルの中心を担う地域コミュニティの内容とは?
幸手モデルの中心を担う地域コミュニティの内容とは?
デイサービスで新感覚レクリエーションツールを使って高齢者のモチベーションアップ!?
デイサービスで新感覚レクリエーションツールを使って高齢者のモチベーションアップ!?
「介護の一瞬」をキリトル活動
「介護の一瞬」をキリトル活動
福島県の仮設住宅に暮らす高齢者や子供への支援
福島県の仮設住宅に暮らす高齢者や子供への支援
美味しいね 楽しいね 嬉しいね
美味しいね 楽しいね 嬉しいね
武道体操を通じた生きがい支援!
武道体操を通じた生きがい支援!
「ものを作る喜びと感動」を味わう、世代を超えた心の交流
「ものを作る喜びと感動」を味わう、世代を超えた心の交流
「多世代交流”と“時代間交流”が、ひとつ屋根の下で同居している“大家族”施設」
「多世代交流”と“時代間交流”が、ひとつ屋根の下で同居している“大家族”施設」
介護施設に響き渡る、高齢者の笑顔を作る美しい音色。
介護施設に響き渡る、高齢者の笑顔を作る美しい音色。
『ショッピングリハビリ』で、高齢者とともに歩む。
『ショッピングリハビリ』で、高齢者とともに歩む。
人生を旅する高齢者と作業療法士が紡ぐストーリー
人生を旅する高齢者と作業療法士が紡ぐストーリー
『アートで多世代が繋がる』今ある時間と空間をめっちゃ楽しむワークショップ
『アートで多世代が繋がる』今ある時間と空間をめっちゃ楽しむワークショップ
「こどもが自分の地域を愛してくれるように」と想いを込めた「こども食堂」
「こどもが自分の地域を愛してくれるように」と想いを込めた「こども食堂」
ソンミサンマウル(韓国)の街づくりに見る理想のコミュニティ
ソンミサンマウル(韓国)の街づくりに見る理想のコミュニティ
~CBIDを目指して~年齢・障害の枠を超えてつながるコミュニティー作り
~CBIDを目指して~年齢・障害の枠を超えてつながるコミュニティー作り
野球、好きですか??
野球、好きですか??